【声明】朝日新聞社広告部による新刊広告掲載拒否に抗議する

 出版協加盟社であるインパクト出版会が、5月25日付け朝日新聞書評欄下に、新刊『鎮魂歌』(堀慶末著)の広告を出稿しようとしたところ、広告原稿校了後の23日になって、当該書籍の差し替えを求められ、それを拒否した結果、広告が掲載されないという事件が起きた。  広告代理店からインパクト出版会に対して、この本の著者が「闇サイト事件」の加害者であること、無期懲役受刑者であり、かつ余罪で一、二審死刑判決を受けた人物であり、未だ罪を償っていないことなどの理由で広告部の審査を通らなかったのだと伝えられた。

 後者について言えば、同社では過去に、死刑囚の手記を刊行し、その広告を朝日新聞に掲載している実績もある。その点を伝えると、朝日新聞としては「その時々の判断で決める」といわれたという。 代理店を通していても要領を得ないので、朝日新聞の直接の担当者名を尋ねても、明らかにされることはなかった。  この本の配本日は23日であり、これに合わせた出稿であったので、版元としては販売機会の喪失につながる損害を被ることになる。  今回、広告文の表現を変えてくれというのではなく、特定の本の広告それ自体が拒否された。その最大の理由は、それが死刑判決を受けた殺人犯の手記であることによるであろう。  同書は2017年「死刑廃止のための大道寺幸子・赤堀政夫基金死刑囚表現展」に応募し、特別賞を受賞した作品である。掲載拒否された広告文には「いま、僕は思います。残された時間をすべて贖罪に捧げていかなければいけないと。」という筆者の言葉が引用されていた。この事件を巡っては、被害者遺族と加害者それぞれの人生を描いた東海テレビの番組も作られ、社会に対してさまざまな問題提起がなされた。

 本来、言論機関の役割は、重罰化の流れに乗っていたずらに報復感情をあおったり、逆に議論を萎縮させたりすることではなく、公共的な言論空間を作りだしていくことにあるはずである。

 今回の朝日新聞広告部の検閲行為は、そうした役割を自ら葬り去るものである。私たちは強く抗議する。                                2019年6月5日

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