私的コロナ禍記(ほんのひとこと)

最終更新: 6月24日

 最近よくあやふやになる記憶をたどると、年明けに、年末年始の出版物の売上が「鬼滅の刃」のおかげで一息つけそうだという知らせがあったころ、世界的な大流行となりそうな新型コロナウイルスによる肺炎が各所で発生。もちろん日本政府も東京都もオリンピックを開催する気満々のコメントを垂れ流す中、2月半ばにWHOが新型コロナウイルスをCOVID-19と命名。各種報道によると、このウイルスはかなり厄介で、感染しても8割の人は無症状もしくは軽症。残りの2割の人が重篤化し人工呼吸器などのお世話になる可能性が高いということらしい。


 そうこうしていると、2月25日に帰宅の際、会社の近くの東京ドームでPerfumeのライブが開催されているのに気付き「明日も帰りは人で一杯かなぁ」と思っていると、翌日に政府は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、この先2週間は大きなイベントの開催を中止や延期するよう要請したため、当日の会場1時間半前に、Perfumeのライブの中止が発表され、すでに物販などで周辺に来ていて人たちは、夕刻には大部分が帰っていた様子。


 この件でさすがにただ事ではないと思い、あれこれと考えを巡らせ始める。


 3月4日には出版協の総会があり、例年総会後は懇親会になっているが、当日は総会のみの開催にすることを諮る。18日には新体制で初めての理事会となる。会社のほうは3月19日に株主総会があるので、それまでに各種書類を整え、会場を予約し、納税資金の手配もしなければならない。加えて、いささか社員分の古びたPCをリプレイスしなければ……。


 全国への一斉休校要請が出たり、オリンピックの延期が発表されたりで、最悪突然ロックダウンと言い出しかねないと考え、あたふた、バタバタと各種用件を端から片付け、確定申告の後、3月27日には、社員全員を集め、感染の可能性を少なくするため、翌週から始業を遅くし終業を早くする時短営業ならびにPCの持ち帰りを許可し各自のネットワーク環境で不足のものがあれば加えて、主に編集は在宅勤務を、営業は日替わりで自宅待機を優先することを告げる。


 また、万一、感染者が出た場合の段取りも確認した。これは、小さな規模の会社では、誰もがその事態に対応できるよう自覚を促すためにも大切な作業と思われたからだ。


 志村けんさんの訃報が伝えられた週末を過ごし、3月30日から時短営業と在宅勤務体制に入る。業務に大きな支障があるかと思っていたが、休校要請後、学校が実質的にとまっているため学校関係の注文は当然激減し、4月に入って緊急事態宣言が行われると各書店も休業に入るところが増え、開店できても営業時間を短縮して継続となり、こちらも激減。結果としては短縮した営業時間と作業量が見合ってしまうという不思議な事態になる。


 編集のほうは、取材や打合せができない状態で、何とかオンラインでできるものは、先方にも対応していただくことになる。


 5月の連休明け、「宣言」が5月一杯まで延長となったせいか、突然、読者からの直販申込が増え始める。注文の本は、オンライン授業で指定されたテキストであったり、自粛期間中に必要になった専門書であったりで、オンライン書店では物流が滞ったり、品切れになっていたりで使えない状況だったせいか直接出版社へ注文という方法をとったようだった。


 この間に出版協の会議や対外的な面談は勿論、社内の打合せもオンラインで行うことになる。


 また、各種施策が政府や自治体からでていて、検討してみたのは次の3つ。事業収入が前年同月比50%以上減少した事業者について、中堅・中小企業は上限200万円、個人事業主は上限100万円の範囲内で、前年度の事業収入からの減少額が給付される(はず!)の「持続化給付金」。


 労働者に対して一時的に休業、教育訓練または出向を行い、労働者の雇用維持を図った場合に休業手当、賃金等の一部を助成する「雇用調整助成金」。


 その他各種の「特別制度貸付」。


 「持続化給付金」は売上が50%以上減少していなければならないので(未だに振込まれていないという報道を目にするが、50%減で2カ月以上続くと業種によっては持続なんぞできない)、対象にならず、「雇用調整助成金」は、手続き、書類の煩雑さとその助成額が引き合わず(「申請しない」というと社労士の先生からは「よかった。煩雑すぎるので」といわれる始末)、結局、利息や保証料を(種類によっては全額)補助してもらえる融資に頼ることになる。


 ところが、各自治体の窓口が不慣れだったり割かれている人数が申請数に対して少なかったりして、地域によっては、受付で2倍、保証協会で4倍の時間がかかっている状態。加えて申請する側も、普段このような融資に頼らずにきた事業所も申請しており余計に時間がかかっているらしい。


 6月も半ばが過ぎたあたりからようやく申請が通ったという話を各方面から聞くようになると同時に「スピード審査」「ファクタリング」という文言が踊るメールやファックスが届き始める。


 一人10万円の「特別定額給付金」もまだまだ滞っているとも聞く。こんな調子だと「アフターコロナ」の焼け野原の中に生き残っているのは果たして誰なのか、皆目見当がつかない。



出版協理事 廣嶋武人(ぺりかん社

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