消費税総額表示義務の特例期間延長等を求める陳情

※2020年11月10日、千代田区議会に陳情書を提出いたしました。


陳情書


2020年11月10日

千代田区議会議長 小林たかや様

件名 消費税総額表示義務の特例期間延長等を求める陳情

一般社団法人 日本出版者協議会

会長 水野 久

東京都文京区本郷3-31-1盛和ビル40B

電話 03-6279-7103

水野 久 [(株)晩成書房・代表取締役]

東京都千代田区神田猿楽町2-1-16-1F

電話 03-3293-8348

理由

 私共は、千代田区内に20社の会員出版社を擁する、中小出版社73社の団体です。


 書籍については、1989年の消費税導入時に、公正取引委員会より総額表示の強い指導がなされ、カバーの刷り替え、総額表示シール貼りなどに各出版社は大変な負担を強いられました。こうした負担に耐えられないとして、ロングテールの専門書等を含む約2万タイトルの書籍が絶版となりました。


 この時の体験から、1997年税率が5%に改定されたのを機に、ほとんどの出版社が外税表示を採用し、書店店頭での税額を巡る混乱等もなく、今日に至っています。


 2004年からは総額表示が義務化されましたが、対応可能な出版社がスリップの突出部に総額を表示するに留まり、多くは対応できず外税表示のままでした。2013年施行の消費税転嫁対策特別措置法により、特例として外税表示が許容され、8%、10%への税率改定に、出版社、取次店、書店、読者(消費者)ともに混乱なく対応することができました。書籍において、外税表示が合理的であることを示しています。


 しかし同特別措置法の適用期限は2021年3月31日までとなっており、2021年4月から総額表示の義務化が復活しようとしています。私たちは、以下の理由から、外税表示の恒久化を求めます。


 出版文化の街である千代田区議会におかれましては、出版文化を守るために、消費税転嫁対策特別措置法による消費税総額表示義務の特例期間延長、および、外税表示の恒久化の検討を国に求めていただきますよう陳情いたします。


(1) 現状において、出版物については「外税表示」が混乱なく広く受け入れられており、「総額表示」でなければ困るといった読者・消費者からの苦情は書店からは報告されておりません。


(2) 再販商品である出版物については、消費税率改定のたびに、定価表示義務者である出版社に新たな諸費用・負担がかかり、しかも書籍が長期にわたって販売される特性を持つ商品であることから、「総額表示」を徹底すればするほど、税率改定の際には多大な負担が繰り返されることになります。


(3) 出版物の市場は1997年をピークに減少を続けており、出版社は2004年の「総額表示義務化」施行当時に比しても厳しい経営環境のなかにあります。2004年当時の新刊のみへの対応に準ずるとしても、対応しきれない出版社が多く出ることは必至です。


(4) 「総額表示制度」の復活は、その運用によって消費税導入時にも生じたロングテールの在庫書籍の絶版化などを再び招きかねず、このことが読者・消費者にとっての最大の文化的不利益となります。また、総額表示のための費用負担は、出版物の定価に反映させざるを得ず、読者・消費者にとって不利益となります。


(5) とりわけ、現在のコロナ禍の下で、出版社も書店も打撃を受けています。総額表記の義務化は、コロナ禍への対応に追われている各現場にさらに手間や負担を強いることになります。


以上

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