新型コロナウイルス感染症は、1月16 日、国内でその発症が初めて確認された。
その後、じわじわと感染は拡大していった。政府は、4月7日、緊急事態宣言を出し
た。このため大型商業施設内で営業していた多くの書店が閉店を余儀なくされた。感
染は一旦は収まった感があったが、6月から第2波ともいわれる拡大がつづいて今日
に至っている。いまだ終息の見通しがたっていない。各社ともその対応に苦慮してい
ると思われる。
出版協は、6月末から7月はじめにかけて、新型コロナウイルス感染症の拡大によ
って、会員各社が経営・出版活動にどのような影響を受けたのか、その現状を把握し、
今後に向けてどのような対策を進めていくかを考える資料にするため、会員社 73 社
と賛助会員が所属する9社の82 社あてに、「新型コロナウイルス感染症による影響に
ついてのアンケート調査」を行った。調査の対象期間は、新型コロナウイルス感染症
の影響が出た3月から5月までで、ネット上のアンケートフォームに直接回答を書き
入れる方法をとった。売上高など経営状況、書店営業や編集業務への影響などを質問
し、23 社から回答を得た。
全体の82%の社が影響(Q1)を受けたと回答している。売上げについては(Q3)、
前年同期比で3月76.3%、4月72.7%、5月67.7%で、平均72.2%となっている。
27.8%減はかなりの痛手である。
政府の支援策(「新型コロナウイルス感染症特別貸付」、「持続化給付金」、「雇用調
整助成金」など)の利用状況について(Q4)聞いたところ、利用(申請)した社78.3%、
今後利用する予定がある社8.7%、利用の予定はない社13%で、8割以上の社が積極
的に利用している実態が浮かび上がった。
書店営業については(Q5〜Q6)、8割程度の社が行っていなかった。理由として、
6割の社が感染予防をあげた。
編集業務への影響については(Q10)、8割弱程度の社が影響を受けたとし、その
具体的な影響としては、「著者との打ち合わせ」と「校正作業」としている。校正作
業の遅れについては、公共図書館の閉館が大きく響いた。編集業務の遅れによって、
新刊点数に影響(Q9)を受けた社は半数程度あった。
このように感染症の影響が今後も続くと予想されるが、各社の具体的な対策につい
ては(Q12)、「各スタッフの日常業務の洗い出しと在宅・リモートワークの推奨。そ
して感染予防としての「『3密』回避」、「在宅勤務、リモートワークへのシフトと環
境整備。アマゾンなどネット書店のカート落ち対策(具体的には、1. 自社直販 2. ジ
ャンルに特化したネット書店の構築 3. デジタル販売の推進)」、「全社員、在宅勤務
を基本とする」などがあげられている。参考にしていただきたい。
出版協では、6月以降についても、同じアンケート調査を実施する予定である。
出版協 経営・企画委員会